2023年11月23日更新

監修記事

耐震のために屋根を軽量化するメリットや相場、注意点をご紹介します!

屋根の耐震補強工事では、日本瓦などの重さのある屋根材を金属瓦などの軽量な屋根材に交換して耐震性を高めていますが、本当に効果があるのでしょうか?屋根軽量化のメリットやリフォーム費用、屋根リフォームの注意点などについてご紹介していきます。

屋根が重いと建物にはどのような影響を及ぼすのか?

耐震のために屋根を軽量化するメリットや相場、注意点をご紹介します!

屋根の耐震工事では、屋根の軽量化が主に行われます。

ですが、なぜ屋根を軽量化することで建物の耐震性が向上するのでしょうか?

建物の構造から考えると、建物自体の重さは柱や基礎部分によって支えられています。

これらの部分は日常的に建物の重さを支え続けるだけではなく、地震や台風などで建物に負荷がかかった場合にも柱や基礎が支える仕組みとなっているため、建物が重いと建物が壊れやすくなるのです。

また、揺れについては遠心力が働くため、動くものが重ければ重いほど支える部分には大きな力が加わりますし、屋根が重ければ屋根の遠心力が大きくなり、揺れが増大しやすくなります。

遠心力については、手提げ袋に荷物を入れて振り回してみると分かりやすいのですが、ほぼ同じ体積となるティッシュ1箱と1.5Lの水なら重量が重い水を入れた場合の方が動きを止めるのが難しくなるはずです。

建物で考えると、腕が柱、体が基礎、手提げ袋の荷物が屋根となりますので、屋根が軽くなることで柱や基礎にかかる反動は少なくなるというわけです。

屋根を軽量化し、強度の高いものに交換するメリットとは


施工・写真提供:山商リフォームサービス

屋根を軽量化することで柱や基礎にかかる負荷を抑えることができますが、屋根の軽量化や強化によって負荷以外の面でもメリットを得ることができます。

今まで起こった大きな地震では、十分な耐震性能があったにもかかわらず想定以上の力が加わって屋根や屋根材が落下するといった事例も起こっているのですが、屋根の軽量化によって落下した際の被害も抑えることが可能です。

例えば、屋根材を陶器瓦やセメント瓦にしていた場合、落下すると割れてしまい、靴が用意できなかった場合などに脱出が難しくなってしまいます。

また、落下して割れた屋根材が飛散することによって怪我や周辺の物品が破損するリスクも高まるでしょう。

金属瓦やその他の軽量で割れにくい屋根材を導入することで、落下時の飛散を抑え、敷地外への脱出や、落下時の被害を抑えることができます。

耐震基準は大きな地震のたびに見直されており、2018年現在の基準では震度7でも倒壊しにくいことが求められていますが、地震の破壊力は地盤や震源からの距離、揺れ方によっても大きく変わるため、耐震基準を満たしていても確実に安全とは言えません。

しかし、想定外の巨大地震が発生した場合でも、耐震基準に適合した耐震補強工事を行っていれば建物の即時倒壊を予防することができるため、住人の安全が守られるという大きなメリットを得ることができます。また、基準法の目的である安全に避難できる時間を確保が可能になります。

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耐震工事として屋根を改修する場合の費用と注意点

耐震のために屋根を軽量化するメリットや相場、注意点をご紹介します!

耐震リフォームで屋根を改修する場合どのような工事を行い、費用はどの程度かかるのでしょうか?

一般的な日本瓦やセメント瓦を葺き替え、軽量で強度の高いガルバリウム鋼板製屋根材などに交換する場合の費用は、約100万円が相場です。

もし耐震診断も同時に行うなら、一般診断法を用いた場合で約10万円が相場となります。

また、日本瓦タイプの屋根材についても、軽量化と瓦自体が他の瓦と強固に組み合わさる構造を追加することによって安全性を高める「防災瓦」という製品がありますので、建物の見た目を変えたくないという方におすすめです。

その他にも、棟瓦の中に金属製の固定具を入れてずれや落下を防ぐ工法や、瓦をより強固に固定する下地材なども開発されていますので、瓦屋根を使い続けたいという方はリフォーム会社に相談してみると良いでしょう。

費用については、防災瓦への葺き替えは約130万円から、瓦の葺き直しについては、約70万円が相場となります。

屋根の軽量化改修を行う際に注意することは?

屋根を軽量化することによって建物の耐震性や落下時の安全性を高めることができますが、屋根だけを見ても十分な効果を得ることはできません。

先ほどの遠心力の例で言えば、多少重いものを振り回したとしても、スポーツ選手のように体や腕が強い人ならそこまで体に負担はかかりませんし、体が弱い場合は軽い荷物でも振り回されてしまうでしょう。

つまり、建物の場合も体や腕に相当する柱や基礎部分の強度が十分になければ、いくら屋根を軽量化したとしても、耐震性を万全に発揮することができないのです。

屋根の軽量化リフォームによって耐震性を高める場合には、地盤や基礎、柱などの部分についても耐震診断を施し、十分な強度がない場合には部分修復を行いましょう。

耐震診断や耐震補強工事については、1981年5月の耐震基準が新しいものになる前に建築された木造住宅なら自治体から補助金を受けることができます。

自治体にもよりますが、耐震診断費用が全額、工事費用は半額まで補助される場合もありますので、耐震リフォームをお考えの方は住まわれている地域の役所まで問い合わせてみると良いでしょう。

瓦屋根の耐震性は低い?

瓦屋根は耐震性が低いと言われていますが、なぜ耐震性が低いのでしょうか?

建物の屋根は、軽ければ軽いほど耐震性に有利だとされています。

これは屋根が重ければ建物の重心が高くなるため、地震の際に発生した揺れの影響がより強くなり、壁や柱などに高い負荷がかかってしまうことが理由です。

つまり、日本瓦をはじめとする瓦屋根は、台風などの強風にあおられにくく屋根材としての強度や耐久性は高いのですが、1枚1枚が金属屋根やスレート屋根に比べて重くなるため、耐震性が低くなってしまいます。

しかし、瓦屋根だからといってどの建物でも耐震性が低くなるというわけではありません。

元々耐震設計が施されている場合や、旧耐震基準のもとで建てられた建物でも耐震補強工事が施されている場合は、大きな地震が発生しても十分な耐久性を発揮しています。

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瓦屋根以外の理由で耐震性が弱い場合もある

建物の耐震性は屋根の重さも関係しますが、壁や柱などの建物の強度も耐震性に影響を与えます。

耐震性の向上を目的として瓦屋根を他の軽量屋根材に交換したとしても、壁や柱、土台が傷んでいたり、旧耐震基準で建てられていたりする場合には、十分な耐震性を発揮することができません。

特に旧耐震基準で建てられている場合には、元々の設計が震度5ですぐに倒壊しない強度となっています。逃げる時間があるという程度ですので、より大きな地震が起きるようになっている現在、早急に耐震診断と耐震補強工事を行った方が良いでしょう。

現行の耐震基準は、昭和55年5月に施行されました。

お住まいがもしこれより前に建築されている場合には、耐震診断等を依頼して建物の耐震性を確認しておきましょう。

耐震性能を上げるためにはどのような手段があるのか?

旧耐震設計で建てた建物の場合や、老朽化で建物が弱っている場合、耐震構造となっていない場合などには、どのような対処法があるのでしょうか?

屋根については、瓦屋根をお使いなら金属瓦やスレートなどの軽量な屋根材にリフォームする方法がおすすめです。軽量化が目的ですので、カバー工法ではなく、葺き替えで行うとよいでしょう。

瓦屋根に比べて、金属屋根なら重量を半分以下に抑えることができますので、建物にかかる負担が抑えられ、耐震性を向上させることができるでしょう。

しかし、金属やスレートなどの屋根材は日本瓦に比べるとどうしても耐久性に劣ります。

日本瓦ならメンテナンスを怠らなければ約50年以上使い続けることができますが、金属瓦やスレート瓦はメンテナンスを施しても約20年が寿命です。

定期的に葺き替えリフォームを行うなら寿命はあまり問題ありませんが、コストの問題や見栄えの問題で日本瓦を使いたいという場合にはどうすれば良いのでしょうか?


施工:フレッシュハウス

日本瓦で屋根を葺く場合についても、耐震性に優れた防災瓦という製品が販売されています。

これは、日本瓦と同じ陶器製の瓦なのですが、瓦の一部が強固に組み合うように作られている製品です。

従来型の日本瓦は、1枚1枚を屋根に乗せて釘や針金で固定していましたが、この施工方式ではそれぞれの瓦が独立しているため、揺れが発生すると十分な強度を発揮できませんでした。

防災瓦なら、瓦全体が相互に支える構造となっていますので、建物が強く揺れた場合でも瓦がずれたり浮き上がりにくくなり、屋根材の落下を防ぐことができます。

ただ、防災瓦を利用しても、重さの問題が解決するというわけではありませんので、日本瓦を利用される際には土台や柱などの構造部分に十分な強度が確保されているか耐震診断で調査してもらいましょう。

もし、十分な強度がないという場合には、柱を頑丈なものに交換、補強したり、制振ダンパー、免振ダンパー、筋交いを追加して揺れを抑えたり、耐力壁を導入して建物の強度を向上させるといった耐震補強工事を行えば、瓦屋根を維持することができます。

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瓦屋根を補強するためにかかる費用は?

瓦屋根をリフォームして耐震性を高めるためにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

まず、瓦屋根の葺き替えを行ってガルバリウム鋼板製屋根材に交換する場合についてですが、40坪の住宅の屋根を葺き替えた場合で約150万円が相場となります。

費用の内訳は、作業用の足場と養生シートの設置、瓦屋根の撤去と廃材処理費、下地部分の調整費、新しい屋根材の購入費用、屋根材の施工費用です。

日本瓦を防災瓦に葺き替える場合については、同程度の建物で約200万円が相場となります。

これは、面積あたりの屋根材の単価が金属瓦より日本瓦の方が高くなることが理由です。

しかし、防災瓦は金属瓦に比べて耐用年数が長いため、長期的な視点で考えるなら費用はそれほど変わらないと言えるでしょう。

葺き替え以外の方法については、棟瓦に施す耐震補強工事があります。

このれは、既存の棟瓦を一度取り外して金具や金属板を用いて強固に組み直す工事方法で、比較的安価に屋根の耐震性を高めることができますが、棟瓦以外の瓦の落下を防ぐことはできません。

どちらかと言えば、地震後の棟瓦のずれによる雨漏りのリスクを低減させる工事ですので、柱や土台の耐震補強工事を行った後に導入すると良いでしょう。

棟瓦の補強工事は、1mあたり約7,000円が相場です。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】有限会社 鈴木商事 鈴木昭吉郎

有限会社 鈴木商事

鈴木昭吉郎

北越高校商業科卒業後民間企業に就職。その後、家業継承の為県外にて修行。終了後帰省し継承6年後法人格に改名現在に至る。

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