2024年01月24日更新

監修記事

耐震壁の筋交いとは?重要性や筋交いの耐震補強工事内容も解説

木造住宅の耐震性を補強するためには、壁に筋交いを入れたり、耐震パネルを張り付けたりといった改修方法があります。筋交いの詳細や耐力壁の補強工事などについて解説します。

耐震壁の筋交いとは

耐震壁の筋交いとは?重要性や筋交いの耐震補強工事内容も解説

「筋交い」とはあまり聞き慣れない言葉ですが、「すじかい」と読み、壁の耐震性を上げるために建物の柱と柱の間に斜めに取り付ける部材のことを指します。

筋交いの必要性

日本の木造建築の主流である軸組工法では、柱と柱を梁で水平につなぐ施工方法をとります。

軸組工法の場合、建物の上方向からの圧力は柱で支えることができますが、地震の横揺れや台風の際の強い横風など横から掛かる圧力には対応できません。

筋交いの無い壁の強度は非常に弱く、横からの力で簡単に倒壊してしまいます。そのため建物の柱と柱の間に、土台から横架材に届くよう斜めに筋交いをし、壁の強度を上げて対応する必要があるのです。

このような構造の強度を補強する壁は耐力壁と呼ばれ、部屋の間仕切り壁とは区別されます。一般的に面積が広く、階数の大きい建物ほど多くの耐力壁や筋交いが必要になります。

鉄骨造りの建物の場合、筋交いと似たブレースというものがあります。ブレースは鉄筋などの形鋼でつくられた補強材で、軸組に対角線上に渡します。

壁にブレースを入れることにより、柱と梁の接合部分が変形することを防ぐので、耐震性が上がるのです。

建築基準法における筋交いの規定

建築基準法では、建物の壁に一定の割合で筋交いなどの入った耐力壁を取り付けることを義務付けています。建築基準法施工令第45条「筋かい」では、筋交いの素材や厚さ、幅や取り付け方などが規定されています。

さらに建築基準法施行令第46条「構造耐力上必要な軸組等」では、軸組の種類毎に耐力壁の強度が「壁倍率」と呼ばれる数値で示され、地震時、台風時の必要壁量が定められています。

この建築基準法施行令第46条には「構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあつては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない」という一文があります。

これは耐力壁をバランスよく配置しなければならないことを明記しています。耐力壁の配置バランスが偏ると、耐力壁が少ない方に地震などのエネルギーが集中し、建物がねじれて倒壊しやすくなってしまいます。

軸組工法による木造住宅の耐震強度をあげるためには、耐力壁の量を増やすだけでなくバランスを取って配置することが重要なのです。耐力壁を間仕切り壁と混同せず、わけて考えることが必要です。

耐震壁の筋交いに関する注意点

耐震壁の筋交い工事を検討する際には、いくつか注意すべき点があります。そのポイントをご紹介します。

筋交いの量と耐震等級は正比例しない


施工:フレッシュハウス

建物の耐震性は耐震等級という言葉で示されることが多くあります。耐震等級は1~3までの3段階に
わかれていて、以下のような基準が目安となっています。

耐震等級1:建築基準法の耐震性能を満たす水準(数百年に一度の震度6強~7程度の地震で倒壊や崩壊しない、数十年に一度の震度5程度の地震で損傷を生じない)
耐震等級2:等級1で想定される地震の1.25倍の地震に耐えられる(主に学校や病院など)
耐震等級3:等級1で想定される地震の1.5倍の地震に耐えられる(主に消防署や警察署など防災拠点となる建物)

壁の筋交いを増やすと耐震性は上がりますが、筋交いを1.25倍入れたから耐震等級が2になるわけではありません。耐震等級を1から2にするためには、等級1の1.5倍程度の耐力壁が必要となるので注意が必要です。

筋交いと断熱材の相性に要注意

筋交いをつけた壁には断熱材を入れていきますが、断熱材の素材によっては筋交いとの相性が悪いものもあります。

筋交いと断熱材の相性が悪いと壁の内部で結露を起こしてしまい、筋交いが根元から腐敗する危険性があるので、断熱材を選ぶ際には安さだけでなく筋交いとの相性も考慮することが重要です。

一般的に筋交いと相性が良いと言われている断熱材はグラスウールやセルロースファイバーです。

一方、筋交いと相性が悪いと言われている断熱材は袋入りグラスウールや袋入りロックウール、発泡系断熱材の充填断熱です。ただし外張りで付加断熱を施すことで、内部結露を防ぐことができます。

新耐震基準改正前の筋交いは施工方法が不十分な可能性あり

建築基準法に定められている耐震基準は、1981年を境に新耐震基準と呼ばれるものに大きく変わっています。

現在の建築基準法施行令第45条では「筋交いの端部はボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊縮しなければならない」と施工方法が定められています。

しかし、1981年以前に旧耐震基準で建てられた木造住宅では、筋交いが金物で補強されていないことが多いため、改修工事が必要になる場合があります。

また木造住宅は阪神・淡路大震災の被害を受けて2000年にも耐震基準が改正されているため、不安な人は専門家による耐震診断を受けて改修の要否を検討するとよいでしょう。図面から判断する方法、建物の状態までチェックする方法、無料、有料と様々ですので、何箇所か聞いて比較してみるといいでしょう。

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壁の耐震補強工事の方法


施工:フレッシュハウス

既存の壁の耐力を高める改修工事は大きく分けて、既存の壁を解体し筋交いや耐震パネルなどを入れる方法と、壁の外側から補強する方法があります。

既存の壁を解体して新しい壁を作る施工方法が一般的ですが、壁の状態やコスト面から解体が困難な場合には壁の上から構造用合板を張り付ける、耐震補強金物を取り付けるといった方法を取る場合もあります。

筋交いを使った壁の耐震補強工事

筋交いには斜めに1本だけかける「片筋交い」と、X型に2本かける「たすき掛け」の2種類があり、たすき掛けの方が強度は高くなります。

そのため、壁の耐震改修工事をする際には、筋交いの箇所を増やすだけでなく、たすき掛けにするのも有効な方法です。

筋交いに加えて、接合部分を金物で補強したり、構造用合板や耐震パネルを張り付けたりすることで、さらに壁の耐力を上げることができます。

ガラスを減らし耐力壁を増やす工事

壁の一部がガラス窓やガラス戸になっていると、その壁の耐力は弱くなります。

そのため、ガラス部分を減らし、筋交いや構造用合板を使った壁に変える補強をすることで建物の強度を上げることができます。特に耐力が必要な建物の四隅近くの壁を耐力壁に変えると、建物により強度が生まれます。

ただし、当然ながらガラス部分の面積が減ると採光が不足したり住空間に圧迫感が生じるので、間仕切り壁の配置や大きさなどで全体のバランスを調節することが重要でしょう。建築士などと相談されながら、安全と快適性を保つ方法の提案を受けるとよいでしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社フレッシュハウス 樋田明夫

株式会社フレッシュハウス

樋田明夫

フレッシュハウスでリフォームの営業担当を長年経験し、数々のリフォームコンテストでの受賞実績を持つ。現在はフレッシュハウス本社における営業戦略室の室長として、大規模リフォームから通常のリフォーム物件まで幅広く対応中。

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