2023年11月18日更新
床下断熱リフォームの基本情報!費用や効果から断熱材の選び方までご紹介
床下断熱リフォームの基本情報として、施工方法や素材についてお伝えしています。床下断熱リフォームに使われる素材と特性、費用相場を把握することで、満足のいくリフォームができるようになります。また、床断熱リフォームの注意点もまとめています。
床下断熱とは?
建物の床下は地面に最も近いため、地盤の温度と湿度の影響を受けています。そのため床下の断熱は建物の快適性を維持するためにとても有効です。
床断熱の方法は大きく2つ「床下断熱」と「基礎断熱」に分かれています。
「床下断熱」は床面仕上げ材(フローリング、畳など)または床下地の裏に断熱材を敷設し床下空間からの熱伝導を遮ります。
メリットは、基礎や巾木コンクリートはそのままなので通常の点検で床下のカビ、ヒビ割れなどのチェックもでき、シロアリも発見しやすく早期対策が取れます。また施工費用も比較的安く、一般的な施工方法であるため安定した施工が期待できること、床のすぐ下から断熱されていますので、特に冬の床の冷たさを解消できることなどがあります。現在、床断熱の約80~90%はこの方法がとられいます。
デメリットとして、床の配管周辺などの気密性を保つためには丁寧な施工が必要となること、床下の換気量を十分に確保しないと結露を起こしやすくなることがあげられます。
「基礎断熱」は基礎コンクリートの内側、または外側全体を断熱材で覆ってしまいます。
外周部のみの工事の場合費用は比較的安くなりますがデザインや耐久性に劣る場合もあります。また基礎が直接目視できず、検査も大掛かりなものになりがちです。
メリットは、床下空間も室内温度とほぼ同じになり家全体の蓄熱効果は大変良くなります。
デメリットは、施工費用が高くなること、床下も室内環境となるため光熱費が上昇する可能性があること、断熱材とコンクリートの隙間に進入したシロアリなどは発見しづらくシロアリ被害のリスクが増えることなどが考えられるでしょう。
床断熱のリフォーム工法と費用相場
ここではメリットの多い「床下断熱」について、リフォーム工法と費用相場を紹介していきます。
床下に断熱材を施工する(根太間断熱・大引き間断熱)
既存の床下の大引きや根太間に、ボード状やマット状になっている断熱材を施工する方法です。
リフォーム会社の方が、床の点検口や床下収納から床下に入り、床の裏から断熱材を充填していきます。床下からの施工であるため工期が短く、約1日ほどです。また廃材も少ないため低コストになります。
費用相場は、20坪で約30~40万円ほどです。
床下から断熱材を吹き付ける
床下にボードやマット状の断熱材ではなく、ウレタンフォームなどを吹き付けて施工する方法もあります。
吹付けの場合、施工の厚さを自由に設定でき、隙間なく施工することが可能です。また、既存の断熱材がある場合にも、その上から吹き付けることができます。
この工法も既存の床を残して、床下から施工することになります。
断熱材の吹付けは天井や壁の断熱リフォームでよく用いられていますが、床の場合は下から上への吹付けとなるので施工が難しくなります。そのため、対応しているリフォーム会社が多くないのが現状です。
室内から床を剥がして断熱材を施工する(断熱リフォーム+床の張替え)
床材の張替えのリフォームをする際に、同時に断熱材を施工する方法です。床を剥がした後、室内側から大引きや根太間にボード状の断熱材を施工していきます。
床自体のリフォームを検討している場合は、断熱リフォームも同時施工するほうが効率的です。工期については、床材の撤去や張替えの施工があるため1~3日程度となります。
費用は20坪で約80~120万円ほどが相場となりますが、張り替える床の素材等によって大きく変動します。
断熱材の選び方
断熱材は素材の種類と厚みによって、断熱効果が変わってきます。素材によって熱伝導率は異なり、どの素材でも厚みが増せば断熱効率は上がります。
適切な断熱性能となるよう、床下の状況に合わせて断熱材を選んでいく必要があります。
断熱材の種類と価格
床断熱に使用する断熱材にはいくつかの種類があります。断熱材の素材によって特性や価格が違ってきますので、希望にあったものを選びましょう。
発泡プラスチック系
硬質ウレタンフォーム
ポリイソシアネートとポリオールを発泡、樹脂化させた均一なプラスチック発泡体です。断熱性能が高く、衝撃に強いという特性があります。硬いという特性をもつため、カッターでのカットは難しくなっています。また、無機繊維系に比べて高価です。
価格帯は1枚約7000~11000円程度で、代表的な商品はアキレスボードです。
押出法ポリスチレンフォーム
ポリスチレン樹脂に難燃剤を混ぜ合わせたものを発泡させて、押し出しながらボード状に成形したものです。独立した細かい気泡により構成されているため断熱性能が高くなっています。また吸湿もしにくく耐圧力があります。カッターでも比較的簡単にカットできるため、施工も手軽です。
代表的な商品として、株式会社カネカのカネライトフォーム、ダウ化工株式会社のスタイロフォームがあります。特にスタイロフォームはホームセンターでも様々な厚さを揃えていることが多く、DIYにも向いている素材です。
価格帯は1枚約2000円~10000円で、厚さや熱伝導率によって価格は大きく異なります。
無機繊維系
グラスウール
ガラス繊維を綿状の素材にしたものです。耐久性、耐火性、防音性に優れており、価格が安いことから多くの木造住宅で断熱材として使用されています。
また、防音性から工場や映画館などにも施工されており、軽いため施工性が高いのも特徴のひとつです。ただ、直接触れてしまうとかゆみなどが出る可能性があるので、施工には注意が必要です。
価格帯は1坪当たり約2000~6000円、旭ファイバーグラス株式会社の商品が有名です。
ロックウール
岩綿とも呼ばれ、鉄炉スラグや玄武岩などを原料に作られる人造鉱物繊維です。耐久性、耐火性、防音性に優れているなど、グラスウールと特性が似ています。
グラスウールに比べると特性がより良くなっていますが、その分価格も高くなっているのが特徴です。
価格帯は1坪当たり約3000~9000円。
自然系
自然系の素材は、比較的に新しいもののため扱っている会社が限られています。ここではいくつかの種類と特性をお伝えします。
セルロースファイバー
段ボールや新聞紙などの古紙が原材料、隙間なく施工できること、調湿性があること、吸音してくれることなどがメリットです。
ウール
羊毛を使用した断熱材です。アレルギーの心配が少なく、調湿、防音効果があります。また、劣化しにくいといった特性もあります。
インシュレーションボード
廃材や間伐材、樹皮などの木質素材をボード状に成形したものです。木がもともと持っている調湿性と消臭効果が期待されています。近年、エコ素材としても注目されいます。
施工時の注意点
床下換気が必要
床断熱の場合、床下の断熱材のすぐ下は外気と同じです。これらの温度差が大きくなることがあるため、床下換気を行って除湿をしなければ結露やカビが発生するリスクがあります。
気密処理に気をつける
土台から床に抜ける配管や配線の部分、床下の構造に高低差があるなど複雑な場合には気密処理が難しくなります。隙間が空いてしまえば、断熱の効果は下がってしまいますので、しっかりとした施工が必要です。
床断熱リフォームの方法
床断熱リフォームには2つの方法があります。1つは既存の床を剥がして断熱材を入れ、新しいフローリングを張る方法です。もう1つは床下に入り、断熱材を張る方法です。前者の方が作業がスムーズに進みますが、フローリングの張替えが必要なのでリフォームには日数がかかります。
床下に入って断熱材を張る方法だと廃材が少ないため、諸経費が比較的安く済むというメリットがあります。
約65平方メートルの場合の相場は約20万円~30万円です。
これには、断熱材の代金だけではなく養生費や清掃費、廃材処分費、工賃などが含まれています。
更に、防カビフィルムや水滴が床下から表面に浮き出てくるのを防ぐシートなどを使用すると別途費用がかかります。
フローリングごと張替える場合にかかる価格の相場
フローリングごと張替える場合は約65平方メートルで約110万円の費用がかかります。
この場合は廃材処分費で約5万円かかります。
フローリングを張替える作業により、断熱材を張るだけの場合と比べて工賃が高くなります。
更に、施工後の清掃費や資材運搬費などの諸経費も高くなるので注意しましょう。
・合板フローリング:約4000円~/1平方メートル
・無垢フローリング:約5000円~/1平方メートル
が価格の相場です。
約65平方メートルの場合
材料費:約26万~約32万5000円
・断熱材:約2000~4000円/1平方メートル
合計:約13万~26万円
フロアコーティングなどを合わせて行う場合
1平方メートルあたり約1000~5000円かかります。
65平方メートルの場合:約6万5000円~32万5000円
の費用がかかります。
更に、清掃費や既存のワックスの剥離などにも費用がかかるため、約6万5000円が加算されます。
複数の作業を併せて依頼することで、多少の値引きが期待できます。
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